江戸東京たてもの園(その2)
映画「千と千尋の神隠し」のモデル

 今回は「その2」です♪ 「その1」は、こちらからどうぞ。
 江戸東京たてもの園は、「西ゾーン」「センターゾーン」「東ゾーン」の3つに分かれています。

 今回は、東ゾーンにある『たべもの処「蔵」』のレポートです♪
 東ゾーンには、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』のメイン舞台である「油屋」のモデルになった銭湯「子宝湯」や、映画中の登場人物の一人・釜爺の部屋のモデルとなった「武居三省堂」などがあります。
 「建物を一度見てみたい」っていう映画効果もあって、昨年度の入場者数は、前年比の1・5倍に!いまでは、たてもの園一番の名物になっています。
 映画効果を持続させるためか、現在、特別展「江戸東京たてもの園と千と千尋の神隠し」が開催されています。

 宮崎監督直筆のスケッチやメモ書き・原画・動画を見ることができるそうです。詳しい情報はこちらへ。
 子宝湯のお隣は、当時の居酒屋を復元した鍵屋。お風呂上がりの一杯は格別?

 建物の中は、当時のビール瓶や小鉢まで細かく再現されています。

 さて、ごはんにします?それともお風呂にします?・・・(笑)
 それでは、まず千と千尋のモデル「子宝湯」から♪
 子宝湯は、昭和4年に足立区千住元町に立てられました。

 壁には大きなペンキ絵が。末広がりの形をした富士山の絵はやっぱり人気ですね。

 当時の建築費(4〜5万円)は、相場の2倍だったそうで、当時としては非常に立派な建物だったそうです。

 施主さんも大工さんも石川県出身の人だとのこと。東京や関西の銭湯は、北陸出身の経営者さんがとっても多いみたいです。
 この子宝湯は、昭和63年に廃業。平成5年にこの地で復元されました。
 昭和38年の入浴料金(東京都)は、大人15円!(右写真→)

 ちなみに、現在の入浴料金は400円。40年で約27倍だけど、他の物の値段は、もっと上がってますしね・・・

 昭和30年代は、内風呂の普及率が急速に高まった時代とのこと。内風呂の普及率は、昭和38年に約6割にまで達したとのことで、このころから銭湯の数が減っていったようです。

 ところで、江戸時代の銭湯は『入り込み湯』といわれ、男女が混浴だったのだそうです。いちおう何度か禁止令を出されたそうですが、なかなか改まらず、明治23年まで大人の混浴が続いていたとか。実は別浴の歴史は短かかったんですね・・・

 あのペリーさんも、混浴にはとっても驚いたみたいで、議会に提出した「ペリー提督日本遠征記」でも、その様子をイラスト付きで(!)非難されているそうです。

 ちなみに、現在は、各地の条例によって、混浴できる年齢の上限が定められています。たとえば、東京都は「10歳以上の男女を混浴させてはならない」とのことです。(参考資料は以下)



 さて、お風呂の後は、お食事です♪

 武蔵野うどん専門店 『たべもの処「蔵」』でうどんとおだんごをいただきました。


 武蔵野うどんは、武蔵野台地の風土が生んだ郷土食。この地域では、水が乏しく米があまりとれなかったので、冠婚葬祭などの催事には小麦粉を原料にするうどんを供していたそうです。

 武蔵野うどんは、「糧(かて)うどん」とも呼ばれています。糧はおかずのことで、季節の野菜を添えてお腹を満たしたそうです。

 おいしいうどんが打てることが、お嫁さんの条件だった時代もあったとのこと。なるほど。

 「蔵」は、店蔵型休憩場の2階。1階は自販機などを設置してあるふつうの博物館の休憩所になっています。

 注文は食券制。店の入口にある券売機で食券を買います。
 うどんの大盛り(\100)を希望する場合は、大盛りボタンを押しましょう♪
 席に着くと、お店のひとに「暖かいうどんと冷たいうどんのどちらがいいですか?」尋ねられます。

 この日は、秋にしては暑い日だったので、冷たいうどんを注文してみました。
 店内は木の素材を活かしたつくりで落ち着いた空間。窓際に座れば、小窓から東ゾーンを一望できます。ちょっと桟が多いけど・・・


 武蔵野うどん→650円

 麺は、そばとうどんの中間くらいの太さ。ムチムチとした歯ごたえある食感で、とにかくコシが強い♪

 写真は大盛りじゃありません。念のため。
 だしは、ちょっぴり塩味のする麺によくあっていて、絶妙!でした。ただ、糧と呼ばれるおかずの量が少なかったのが残念・・・ということで、「おだんご」もいただきました(^^)

 おだんご→300円

 お醤油の香りがぷんぷんするおだんご。とっても暖かくて、美味しかったですよ♪




都電7500形
 たてもの園では、建物だけでなく、建物の中も復元されています。その多くは、中に入ることもできます。

 建物ごとにパンフレットが用意されていて、当時の暮らしぶりや歴史を紹介してくれているのが嬉しいですね♪ 

綱島家(農家・江戸中期の世田谷区に所在)

常盤台写真館
 昔ながらの懐かしい住まいや風景から、新たな東京の魅力を発見できると思います。囲炉裏に火が入っているところもあったし、大人も子どもも楽しめる施設だと思います。リピーターの方が多いのもうなずけますね♪
 ミュージアムショップでは、園内風景を撮影したオリジナルの絵はがきや東京に関する書籍、江戸玩具などを販売しています。

 宮崎駿さんのデザインによるたてもの園のマスコットキャラクター「えどまる」。

旧自証院霊屋
 「江戸東京たてもの園」では、宮崎駿さんの協力をはじめ、都民参加を拡充することで、運営を続けています。

 実際の運営を垣間見ても、ボランティアで活躍されている方々の協力なくしては運営できないことがよくわかります。

 東京都内には、200もの美術館・博物館が存在しています。このなかには、お役所が後先を考えないで、建設したものもたくさんあります。

 ただ、この「江戸東京たてもの園」は、他に類似施設もないし、江戸と東京の古き良き風情を後世に伝えていく意味でも、とっても貴重な空間だと思います。

 今後の維持管理には、厳しいシーンも予想されていますが、限られた資源を有効に活用して、なんとか保存できたらいいな、と思います。

 みなさんも、歴史の勉強を兼ねて、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?

吉野家(農家)

建築家・前川國男邸

おもなMENU一覧

たべもの処「蔵」


武蔵野うどん \650 コーヒー \350
山菜つけ汁うどん \700 紅茶 \350
おろしうどん \700 アイスコーヒー \350
武蔵野うどんかけ \650 アイスティ \350
力うどん \750 オレンジジュース \300
たぬきうどん \700 コーラー \300
きつねうどん \700 コーヒーフロート \450
月見うどん \700 クリームソーダー \400
山菜うどん \700 アイスクリーム \300
かき揚げうどん \800 ビール \450
カレーライス \700 日本酒 \400
おだんご \300 自家製田舎まんじゅう \300
うどん(2人前・つゆ付き) \900

アクセス
●江戸東京たてもの園
住所 〒184-0005
東京都小金井市桜町3-7-1
 (都立小金井公園内)
電話 042-388-3300
WEB ホームページ
最寄駅 JR中央線武蔵小金井駅からバス5分(バス停から徒歩5分)

●たべもの処「蔵」
電話 042-387-3141(予約直通)
WEB ホームページ

※感想は、あくまで個人的なものです。味や内容を保証するものではありませんので、ご了承ください。


[お役所の食堂]
参考ページ・東京都浴場組合・日本経済新聞